【2D CAD & 3D CAD】 改めて比較 まだ2Dだけを使い続ける理由

3D CAD, 設計ソフト

下記に比較表を作成しどれだけの差があるか明記しました。しかし、2D CADを普段使いしている場合、3Dを使う必要がないと考える企業、個人も少なくありません。私も6年間2D CADを使い続け3D CADを使うのが億劫でした。その理由を一つ一つ説明します。

比較項目2D CAD3D CAD
設計能力・平面的な図面の作成が得意
・機械設計の基本的な機能を備えている
・立体的なモデルの作成が得意
・製品の全体像を正確に把握できる
時間効率・簡単な図面の作成には効率的
・3Dデータを2D図面に変換する場合も可能
・初期段階から立体的なモデルを作成できるため、製品の全体像が早い段階で確認できる
・設計変更が容易になるため、設計の追加や変更にかかる時間を削減できる
複雑な形状の表現・難しい形状の表現には向かない・複雑な形状も立体的に表現可能
データの再利用・2D図面から3Dモデルの再利用が困難
・設計変更により、データの更新が煩雑になる場合もある
・3Dデータから2D図面を再利用できる
・設計変更により、関連するデータを自動的に更新できる場合がある
プレゼンテーション・機械設計者、普段2Dを見慣れている同士には向いている。・3Dモデルからのプレゼンテーションが可能で、製品のイメージを明確に伝えることができる
コスト・2D CADソフトウェア自体のコストは低く、ハードウェアのスペックも低くて済む場合がある・3D CADソフトウェア自体のコストが高いことがある
・高スペックのハードウェアが必要な場合がある

理由①・・・設計能力

3Dモデルで製品の全体像を正確に把握できるが、事実2D CADだけでも十分に把握できる設計者が多いです。機械設計者、その設計者のいる会社の人、製造するにあたり昔から当たり前のように2Dの図面(あるいは手書き図面)を見てきた現場の人、設計者の顧客(工場工務、設備技術、生産技術)は普段から2Dを目にすることが多く、それによって身についた図面把握能力があるからです。そのおかげで2Dだけでコミュニケーションもできるし、ビジネスが成り立ちますし、3Dを使う必要性をあまり感じません。それが複雑形状であっても、機械設計者同士がコミュケーションを取る場合には全然問題ありません。

理由②・・・時間効率

2D CADを普段使いしている機械設計・製造している&ある程度の規模の企業は、すでに2Dをベースに製造システムを構築していることが多いです。2Dの部品表から自動で部品を読み取り、各工程(フライス、レーザー、先晩、溶接、鋳造など)に仕分けられます。2Dだけの世の中でしたらすでに効率的な製造システムが構築されているため、新たに3Dを導入して製造システムを再構築、修正するのが時間的に非効率と考えてることがあります。具体的には3D CAD導入のためには、現在のビジネスを遂行しながら(=2D CADのシステム使いながら)、長期間にわたり3D CADを段階的な導入+テストを繰り返します。これを組織的に取り組む必要があるためリーダーシップのとれる人が各部署(機械設計者、情報システム、生産管理、製造現場など)にいなければなりません。

逆をいえば、まだ設計製造システムを構築していない個人事業主や小規模企業が始めようとすると既存システムとの比較がなく、純粋な3Dと2Dとの比較になります。その場合、3D CADの導入が前述のような2Dとの平行業務が必要ないため3D CADを導入することに”億劫”を感じにくいのです。

理由③・・・データの再利用

これまでに設計してきた2Dが多ければ多いほど、わざわざ3D CADにする時間と労力をもったなく感じます。そんなときに(A)3D CADモデル化の専任を付ける、(B)外部委託をする、(C)自動的にモデルを生成するソフトを選定する、といった方法があります。しかし、これは段階的な導入を前提とした考えです。

(A)普段の業務に支障を来しにくいが、専任以外もゆくゆくは3Dスキルを身につける必要がある。
(B)同上。技術漏洩のリスクがある。NDAをしっかり結ぶ必要がある。
(C)普段の業務と平行しながら進める必要があるが、3Dスキルも同時に身につく。現在使用している2Dとの互換性を確認する必要がある。※ただし、2Dから3Dへの変換は常に完全に自動化されるわけではなく、設計の複雑さや正確さに応じて手動で調整する必要がある場合もあります。

2Dから3Dへの自動生成機能はAutodesk Inventorに備わっています。しかも無償体験盤でその機能を使用できるので一度トライしてみたい方は下記リンク先から無償体験版をダウンロードしてみるのも良い可と思います。
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理由④・・・コスト

2Dと3Dを単純に比較しても2Dの方が安価に手に入ります。しっかりとした2Dを作図できる2Dソフトウェアであっても永久ライセンス10万円未満(IJ CAD)、ネットワークでの共有図面機能があったとしても2万円/年で済みます。

2D CAD⇒3D CAD自動生成機能を持ち合わせた3D CADソフトウエアだと数十万~数百万円の金額になります。※自動生成機能のない3D CADであれば年間7万円(AutodeskのFusion360)。

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理由⑤・・・普及率

そもそも取引先が3D CADに対応していない場合が多く、3Dを導入して最初にやり取りする際に3Dモデルだけで良いか、2Dデータも必要か、DWGなど拡張子を変える必要があるか、などを確認する必要があります。

まとめ

「つまり、今後も2Dで十分」と一概に言うことができるでしょうか。常に情報収集して今の組織、時代(ニーズ)に合うシステムを検討していきましょう。

また、2D CADを普段使いしている企業の悩みや最新のDX事情についてもこちらに掲載しました。

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