【設計事例】ブラケット 標準化手順

機械設計_ブラケット設計_標準化の手順 実践から学ぶ機械設計
機械設計_ブラケット設計_標準化の手順

設計者によってブラケットの鋼材や取付寸法が異なることは、よくあります。障害物の干渉を避けるために複雑な形状のブラケットでない限り、ブラケットの鋼材や取付寸法を統一した方が、設計、材料手配や製作において多くのメリットがあります。

当ブログで実際に標準化したブラケット一覧を「ブラケット 誰でも簡単設計ツール」にして販売しております。その標準化した手順について紹介します。無料サンプルもあります。

標準化の目的と期待効果

新たなに設計する部品数を減らして工数削減することが目的です。標準化を取り組む目的が分かれば、どのくらいの工数を削減できるか、ある程度期待したいところですよね。効果は概算で算出します。標準化に取り組む最初の手順、種類数の確認と目標値で期待効果を算出することができます。

設計手順の書き出し

事細かに洗い出すと以下の項目以外にあるかもしれませんが、ブラケットを設計する上で重要な項目だけピックアップできていれば問題ありません。というのは、特殊なケースや滅多にない条件などは外さなければ標準化する種類数がまとまらず、逆に選定に時間を要してしまいます。ここでポイントなのは「大まかな」だけど「大事なとこは見逃さない」です。ひとまず設計手順を書き出します。

①使用条件の確認・・・水気の有無、使用期間、取付取り外しの頻度など
②ブラケットの材質選定・・・SS400、SUS304、アルミなど
③荷重の種類の確認・・・静荷重、動荷重(片振れ、両振れ)、衝撃荷重
④荷重の大きさの確認
⑤鋼材の仮選定・・・アングル、チャンネル、H鋼など
⑥ブラケットの寸法仮決め
⑦ブラケットの強度計算
⑧ブラケットの寸法本決め
⑨ボルトサイズの仮決め
⑩ボルトサイズの強度計算
⑪ボルトサイズ本決め

種類数の確認と目標値

洗い出した設計手順からブラケットの種類数を確認するまでもないですが、下記計算からとんでもない種類数になります。ここで種類数を算出する目的は、標準化の効果を見い出すためです。

材質種類数 × 荷重の種類数 × 荷重の大きさの区分け数 × 鋼材の種類数 × ・・・

例えば、次のように洗い出すとざっと約28000以上の種類あります。それを材質、寸法を一覧表にしてCADデータを作成、となったら「やらない」という選択肢が生まれます。それを避けるために不要、使用頻度の低い(特殊条件など)は間引きしていきます。

・材質種類数 3種類:SS400、SUS304、アルミ
・荷重の種類数 4種類:静荷重、動荷重(片振れ)、動荷重(両振れ)、衝撃荷重
・荷重の大きさの区分け数 20種類:~100kgまでの5kgごとに区分け
・鋼材の種類数 30種類以上?:アングル30,40,50,・・・,チャンネル100,150,200・・・
・ブラケットの長さ寸法 4種類:500,1000,1500,2000mm

パラメータの間引き

間引きすると以下の通りとなります。種類数はここですでに640にまで減少しました。ここまで来ればもはや標準化しない手はありません。

使用頻度の低い条件(使用雰囲気や荷重の種類)、鋼材であれば流通性のない鋼材を間引きして種類数を減らします。荷重の大きさの区分けも大雑把にします。ブラケットに求められるのは荷重の大きさに対して「ギリギリを狙う」、ではなく「この荷重にも耐えられる」と考えて区分けを大きくしています。

同じようにブラケット取付ボルトにかかる荷重についても計算します。ここで、同じ鋼材種類/サイズであれば取付寸法も同じにします。それでも耐荷重をもたせるように計算して確認します。

・材質種類数 2種類:SS400、SUS304
・荷重の種類数 2種類:静荷重、動荷重(片振れ)
・荷重の大きさの区分け数 8種類:1,5,10,20,30,50,75,100kg
・鋼材の種類数 10種類:アングル30,40,50,65、チャンネル70/80,100,150,200、H鋼150,200
・ブラケットの長さ種類数 2種類:~1000mm, 2000mm

そうすると上記のように種類を削減することができました。あとは標準化したブラケットをモデル化/製図して標準部品として確立します。

運用方法

ただ単に標準化したブラケットを一覧にしても社内に浸透しないことがあります。これを誰でも簡単に操作できるようにクリック操作2,3回でブラケットの材質と寸法が決められるようにします。当ブログでは一覧化した表をExcelにしてスライサーという機能を使用しています。以下の動画のように用途、荷重種類および耐荷重の3つを選択するだけでブラケットのモデル(材質、鋼材種類、取付寸法)が決定します。

まとめ

標準化した部品を運用するまでの手順を説明しました。パラメータ洗い出し、間引き、強度確認など大がかりですが、標準化した部品を運用するようになれば、効果は計り知れないと思います。標準化したブラケットを誰でも簡単設計ツールとしても扱っています。よければお試しください。

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