前回の記事でP&IDとは何かを説明しました。
今回はP&IDの重要性やどのタイミングでP&IDが作成されるのか、について紹介します。
役割
P&IDは世界に通用するツールであり、それを見れば工場を見なくとも工場全容を把握することができます。工場設備を自動化するための設計ツールとして使用でき、かつ全容を把握することで無駄な危険な作業をも見える化して業務改善や安全対策の立案に役立てられます。
重要性
新規工場を立ち上げするときの計画図として、現状の流体品製造フローの改善業務の図面として、などと様々な場面で活用できます。流体品や粉体品の製造にはP&IDは必ず必要といっても過言ではありません。それは必要な機械設備や配管、計装部品などの仕様と接続位置が見える化されており、昨今のFAやIot、DX化に必要となるベースの資料といえます。
<できることやメリット>
- 見える化(生産の流れ、その機器に流れる流体の種類や温度などの仕様)
- DCS、PLCなどの操作画面への転用
- 生産律速の把握などの改善業務への貢献
生産の流れが見える化することで新入社員や中途採用者の教育に活用できます。どこの設備にどんな流体が流れていてどのくらいの生産量を確保できるかを教えることができます。生産技術や設備関係、製造現場に配属された際にはP&IDがあればそれを見ながら業務を遂行すると覚えが早くなります。
また、流体の仕様が分かることでどの配管・設備内に危険流体が流れているかを把握することができ安全管理に役立てられます。
DCSやPLCの操作画面への転用は後日別記事で紹介しようと思います。
P&IDはどのタイミングで作成されるのか
一般的にP&IDはPFDおよび新設のマシンレイアウトをもとに設計されます。PFDとはP&IDを概念化した図面で、P&IDよりざっくり書かれた図面のことを言います。そして機器仕様リスト、計器リストを作成していき各種バルブの選定をしていきます。機器仕様リストというのは残り湯洗濯でいえば、残り湯を吸い上げるポンプの仕様や洗濯機の容量、湯船の容量など各機器の仕様をまとめたリストのことをいいます。計器リストというのは残り湯の水位表示器や洗濯機の水位表示器の仕様をまとめたリストのことです。これら機器の仕様をまとめたリストをもとにポンプや計器類を選定して購入していきます。他にも配管図やアイソメ、BoMなどといったものもあります。
P&IDが工場にない場合
生産設備メーカーやエンジニアリング会社、配管メーカーなどが所有していることもあります。それでもなければ自分たちで一つ一つのライン(配管)を図面に起こす、またはエンジニアリング会社に作成を委託する、のどちらかになります。
前者は自分たちの時間を使う代わりにコストを抑えられます。後者はコストを抑える代わりに労力を費やす必要があり、加えて外部へ生産設備の仕様を漏洩させるリスクもあります。
どちらが良いか外部に委託する費用や自分たちの労力、漏洩リスクなどを社内で総合的に判断する必要があります。
まとめ
P&IDの重要性や役割についてご理解いただけたでしょうか。私自身もまだまだ勉強中なところがございますが日々役立てられる記事を更新していこうと思います。また、ゆくゆくはP&ID作成するための記号一覧のダウンロード環境も整えていきますので今後とも何卒よろしくお願いします。
コメント