【設計事例】ブラケットとボルト 強度計算シート使い方

実践から学ぶ機械設計

障害物があってブラケットが上図のような形状になる場合の設計方法を説明します。
ブラケットの使用条件は以下の通りとします。
 ・水気のある雰囲気
 ・取付取り外す必要のないブラケット(取付けたら長期的にその状態)
 ・支えるモノ:パイプ100kg
 ・ブラケットの固定方法:床(基礎)

ブラケット材質の決定

防錆&長期にわたり使用するのであれば高価であっても流通性のあるSUS304を使用します。

ブラケット形鋼の決定

形鋼の種類とサイズについて、最も荷重のかかるブラケット根元の応力が形鋼の許容応力に耐えられればOKです。計算シートを利用して許容応力以下になるようにトライ&エラーを実行します。
強度計算シートのダウンロードはこちらから

条件を入力

P=100kg

L=0.5m

軟鋼で静荷重であれば
安全率は「3」

まずは小さなサイズから形鋼を選びます。
「ブラケット強度」の判定がOKになるまで
サイズを上げていきます。

結果⇒50×50×5tのアングルで強度を満たします。

選定した型鋼の種類とサイズ ⇒ アングル 50×50×5t

形状のモデル化

Autodesk Fusion360でモデル化しました。お試し/購入、比較は下記リンク先を参考に。
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アンカー種類、アンカー筋(ボルト)サイズ、ピッチの決定

ブラケット取付面を設計します。
左図はブラケットを下から見た図です。
①座板サイズを仮に作図する
②ボルトの頭(今回は六角)を仮に配置する
③ボルトのサイズを仮に決定する
 今回はM8(六角対辺は13mm)
④寸法を仮に決定する
 ボルトにかかる荷重を計算するため

同じ強度計算シートにあるボルト強度計算欄に入力する。(上図の赤丸部分(=左画像))
⑤SUS304の六角ボルト ⇒ A2-50の強度区分
 ボルトの強度区分についてはコチラ
⑥安全率は軟鋼で静荷重とし「3」とする
⑦ボルト強度の判定が「OK」であることを確認
⑧ここで荷重F1が4317Nであることを覚えておく

⑨次に床が基礎であることからブラケットの取付にはアンカーを使用するため、アンカーの強度計算シートを使用する。
ダウンロードはこちらから

⑩長期的にブラケットを固定しておきたいため接着系アンカーを使用する
 金属拡張アンカーと接着系アンカーの使い分けはこちらを参考に

⑪アンカー外径、埋込深さなど入力
⑫許容引張力が先ほど算出したF1(4317N)より大きいか、確認

今回の場合、明らか強度が不足しているため、ボルトサイズおよびピッチを見直す

⑬ボルトサイズを上げたり、アンカーの埋込深さを深くしたりすることで強度を上げることができる

トライ&エラーの結果
 M12(アンカー筋径)×深さ70 とする
⑭その際にアンカーピッチ(左画像)が138mm以上を確保する必要があるため座板の寸法、アンカーピッチをモデル上で変更する

⑯モデルの変更

取付座板の厚さ決定

ほとんどの場合、ボルトサイズと同じ値で十分なので板厚は12mmとします。
取付面の表面粗さは取付相手面の基礎以上、かつパイプの取付精度が~2mm程度の許容があるようであれば良いので”加工なし”で十分です。

モデル化 完了

最終的に設計されたブラケットです。100kgを支えるブラケットとして華奢にみえるかもしれませんが、静荷重であれば問題なく使用できます。これに動荷重、サポートするパイプに荷重がかかったり、かからなかったりする場合、安全率を高く設定して形鋼のサイズアップを図ります。

最後に

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