【簡易設計】汎用ロールの設計と強度計算方法

実践から学ぶ機械設計

フィルムや紙などのシート状製品を扱う製膜機械には必ずロールが使われます。新しくラインを設計する際に必要となる要求仕様の洗い出しと仕様を満たすための設計方法を紹介します。

ロールの長さ(面長)

搬送するシートやベルトの幅を確認します。そのシートやベルトが蛇行しないとは限らないため冗長性を持たせておきます。目安としてシートやベルト幅の5%程、例えば3000mmのシート幅であれば片側150mm程広いロール/ベルトになります。

材質

使用場所が水中の場合SUS304を、水しぶきがかかる程度でグリップ力を持たせたい場合STKMやSS400(板巻)に硬質ゴムでライニングしたものを採用、グリップ力は不要でシートやベルトの擦れによる摩耗を防ぎたい&低摩擦にしたい場合はSTKMやSS400の表面を硬質クロームメッキや溶射したものを、採用します。

ロール径

シートやベルトのテンション、プレスロールなどの荷重からたわみ量を算出します。許容たわみ量以内であることを確認します。許容値はメーカーによって異なります。また、曲げ応力値も許容値であるか、も確認する必要があります。搬送するフィルムや紙、シートの最小許容曲げ半径よりも大きい径にします。

フィルムや製紙など乾燥させる工程ではロール内に蒸気や熱交換器を搭載して、ロール表面を高温にさせることもありますがここでは割愛します。

軸径

シートやベルトのテンション、プレス、ロールの自重から曲げ応力が材質の許容応力以下であることを確認します。強度を満たさない場合は外形サイズを大きくする、軸受芯々を狭める、材質を変更するといった対応があります。強度を満たさない&設置スペースの都合上外形サイズを変えられない場合、材質の変更で対応します。(S45C→SCM435など)

強度計算方法

以下の計算が一挙にできるようなExcel計算シートを作成しております。今しばらくお待ちください。

ロール&軸強度の確認にはCAD TOOL

フリーソフト【CAD TOOL】を使用します。このソフトには次の機能が備わっておりメーカーに採用されることがあります。CAD TOOLでは計算できない駆動軸のキー溝などは別途計算が必要になります。

 ①材質、形鋼の機械的性質が備わっている
 ②断面形状がかわるロールや梁の構造計算に適している
 ③操作性が良く、計算時間が短い

荷重条件には次のことを加味しましょう。

 ①ロールの自重
 ②シートやフィルム、ベルトの張力
 ③ロール同士プレスする場合には加圧力

②の張力についてロールが引っ張られる方向や抱き角度によって荷重が異なります。
次の記事で抱き角度による荷重の計算方法やCADTOOLを使ったロールの最大たわみや最大曲げ応力の算出方法を紹介しています。

たわみ量から確認する危険回転速度

回転体がプレスやベルトの張力、自重でたわんだときに回転すると一定の回転速度のときに共振します。その共振しない回転数が使用回転数でないことを確認します。次の記事でその計算方法を紹介しています。

バランス等級から求める残量不釣り合い量

シートや膜が薄く送り速度の精度が求められるほと不釣り合い量を少なくするためにロール外径だけでなく内径も切削加工することがあります。特にフイルムに使用するロールでは精度が求められます。計算方法および各回転体の目安となるバランス等級の一覧表を次の記事で紹介しています。

強度計算シートのダウンロード

現在準備中ですのでお待ちください。

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