【設計事例】機械部品の安全率の考え方

実践から学ぶ機械設計

以前ブラケットの安全率の考え方について紹介しました。今回は機械本体に使用される部品の安全率の考え方について紹介します。今回紹介する機械部品は目次の通りです。

駆動軸

24時間一定の速度で回転し続ける場合は安全率5。
ブレーキと回転を繰返し続ける場合は8。
水気の雰囲気など錆や腐食の可能性がある場合は8。
ブレーキと回転を繰返し続ける、かつ水気の雰囲気など錆や腐食の可能性がある場合は10。

回転し続ける際に振動などの何かしらの負荷が加わりそうなときには安全率を高く設定することが多いです。特に稼働率の高い機械において軸の破損は、生産計画に大きく影響するため安全サイドに軸の設計をするためです。

駆動軸の場合、ほとんどはモーターなど既製品でサイズが決められており、モーターの選定である程度軸のサイズは決定します。気をつけるべきは駆動軸に置かれている雰囲気です。水気、熱、振動、そのほか付着物などによって錆や腐食で、予想以上に軸にダメージを与える可能性があるときです。塗装やメッキなどの表面処理、または耐食性のある材質の選定でダメージを防ぐことはできますが100%防ぐことは困難な場合も有ります。企業によって安全率の決め方やノウハウがあればそれに従うのがベターです。

加圧および大型汎用ロール

ロール同士のプレスや直径200mmを超える汎用ロールにおいて安全率は以下の通りにします。ここでいう安全率はあくまで目安となりますので参考情報としてお取り扱いください。

24時間一定の速度で回転し続ける場合は安全率10。
ブレーキと回転を繰返し続ける場合は12。
水気の雰囲気など錆や腐食の可能性がある場合は12。
ブレーキと回転を繰返し続ける、かつ水気の雰囲気など錆や腐食の可能性がある場合は14。

世の参考書には記載されていない数値となります。ロールの場合、軸とボディとの径に差があるため応力集中が負荷されます。メーカーによっては、通常の強度計算による応力以上にかかる場合、厳密な応力集中係数から強度確認する場合もあると思います。機械設計において、係数はすべて実験値であることが多く、その使用状況に応じて係数を大きく変えることも必要になってきます。

ボディ

24時間一定の速度で回転し続ける場合は安全率8。
ブレーキと回転を繰返し続ける場合は10。
水気の雰囲気など錆や腐食の可能性がある場合は10。
ブレーキと回転を繰返し続ける、かつ水気の雰囲気など錆や腐食の可能性がある場合は12。

ボディには応力集中が負荷されないため安全率は上記のようになります。

足場および手摺り

安全率は5を採用します。

かかる荷重は作業者の体重や荷物ですが、下方向のみ繰返し荷重がかかります。こちらは足場のブラケットの安全率と同じ考え方です。

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